Grok Bot と OpenAI dots を比較:24時間働くAIエージェント、設計・安全性・料金の違いとどちらを選ぶべきか

The Super Intelligence 編集部 2026年10月1日 ▶ 動画 10分

この記事は、YouTube「fussa | AI自動化」の動画の内容をもとに、公式発表と照らし合わせて書いています。

要点

SpaceXAI の Grok Bot と OpenAI の dots は、どちらも専用のクラウド上のコンピューターを持ち、人が休んでいる間も仕事を進める常駐エージェントです。Grok Bot は役割ごとにボットを並べるチーム型で月20ドルから、dots は1体の相棒に任せる右腕型で ChatGPT Pro 以上から使えます。選び方は、任せ方と使っている環境で決まります。

  • Grok Bot は役割別のボットを束ねるチーム型、dots は1体が複数案件を抱える右腕型
  • Grok Bot はアカウント内の全ボットが1台のクラウド上のコンピューターを共有し、dots は dot ごとに専用のコンピューターを持ちます
  • 連携は dots が4,000以上のアプリと公式にプラグインでつながり、Grok Bot は API のないシステムも画面操作で動かせます
  • Grok Bot は Cursor の月20ドルのプランから使え、dots は ChatGPT Pro(月100ドルから)と Business Premium に最初の1体が含まれています
  • どちらを選んでも、最初は権限と外部への書き込みを最小限にして始めるべきです

24時間働く「AIの部下」として、SpaceXAI(xAI)の Grok Bot と OpenAI の dots が相次いで登場しました。本稿は、運営者がこの2つを公式の発表と第三者の評価をもとに比べ、どちらを選ぶべきかを解説した動画を、公式情報で確かめたうえで記事にしたものです。

2つは同じジャンルの製品と言ってよいでしょう。これまでのAIは聞かれたら答えるチャットが基本でした。この2つは、AIがクラウド上に専用のコンピューターを持ち、利用者が寝ている間や休んでいる間も仕事を進める常駐エージェントです。

結論を先に書くと、どちらが上というより、任せ方が違います。役割ごとにボットを並べてチームで動かしたいなら Grok Bot、1体の相棒に仕事をまとめて任せたいなら dots が向いています。

先に出た Grok Bot、後から出た dots

Grok Bot は2026年8月11日に早期ベータとして公開されました。dots は9月29日の OpenAI DevDay 2026 で発表されたので、Grok Bot が7週間先に出たことになります。dots の発表前日の9月28日には、Grok Bot に新機能「Team Bots」が加わっています。

項目 Grok Bot(SpaceXAI) dots(OpenAI)
公開 2026年8月11日(早期ベータ) 2026年9月29日
中で動くモデル Grok 4.7(9月21日公開) GPT-6 Astra
基本の形 役割ごとのボットを束ねるチーム型 1体が複数案件を抱える右腕型
使える端末 macOS・Windows・Linux のデスクトップ、iPhone・iPad・Android ChatGPT のデスクトップ・Web・モバイル、Slack、Teams、音声通話

Grok Bot:役割別のボットをチームとして動かす

SpaceXAI は Grok Bot を、利用者のツールにログインし、仕事を最後まで終わらせ、承認が必要なときだけ戻ってくるAIのチームメイトと説明しています。公式発表では、製品担当の社員が「90%できた」と「100%できた」には大きな差があると語っています。

特徴は3つあります。

  • チーム型。 受信箱、経費、採用、バグ修正といった役割ごとに名前の付いたボットを何体も作れます。その上にまとめ役の「チーフ・オブ・スタッフ」を置き、専門のボットを束ねる使い方を想定しています。ボット同士はメッセージを送り合い、グループチャットの中で自分たちで調整します。社員は「腕が8本あるタコになった気分」と表現していました。
  • やってみせて覚えさせる。 次に自分が作業するときに「横で見ていて」と頼むと、ボットはその手順をルーティンとして保存し、次からは自分で実行します。API や MCP といった連携の仕組みがないシステムでも、人と同じように画面を操作して動かせます。
  • 使うほど自分向けになる。 直したことを覚え、数回の作業で利用者の口調や例外のパターンを学びます。

9月28日に加わった Team Bots は、チーム全員で1体のボットを共有する機能です。資料や手順などのコンテキスト、アプリとつなぐプラグイン、外部の API を使うための認証情報、学んだことを残す記憶の4つでできています。ボットは共有でも、一人ひとりの会話は非公開で、Slack にも専用のアプリとして招き入れられます。Teams と Enterprise のプランでパブリックベータとして提供されています。

公式の事例では、保険会社の Harper が24時間で Team Bot を作り、3つのシステムで顧客ごとに状況を確かめる作業を自動化しました。数百件の保険契約から12万ドルを取り戻したそうです。SpaceXAI は9月3日の時点で、数千の組織が Grok Bot を導入したと発表しています。

料金は、Cursor の月20ドルの個人プランから使えます。Cursor の Teams プラン(1人月40ドル)や、個人向けの SuperGrok の契約でも利用できます。週ごとの利用枠があり、超えた分はオンデマンド利用を有効にしていれば従量で課金される仕組みです。

dots:1体の相棒が複数の案件を進める

OpenAI は dots を、ChatGPT に常駐し、会話と会話の間も仕事を進める常時稼働のエージェントと説明しています。dot ごとに専用のクラウド上のコンピューターを持ち、目標を渡すと、何を次にすべきかを自分で考えて動きます。

Grok Bot との大きな違いは、1体の相棒から始まる点です。その1体が裏で複数の案件を並行して進め、スレッドを分けなくても新しい仕事を任せられます。運営者は、秘書や右腕のような存在として設計されたものだと見ています。

連携は、OpenAI のプラグインを通じて4,000以上のアプリとつながります。話しかける場所も広く、ChatGPT に加えて Slack、Microsoft Teams、音声通話から使えます。米国の Pro 利用者向けには SMS も限定ベータで始まりました。

公式の使い方の例は具体的です。開発者向けには、顧客の声から繰り返し出る要望を拾い、改善やバグ修正を実装・テストしてレビュー用のプルリクエストまで用意します。営業向けには、顧客の要件を製品資料と照らして足りない点を洗い出し、主要な連携の試作まで作ります。初期の利用者の例では、dot が請求書の出し忘れに自分で気づき、請求書を作って本人の承認後に送りました。

この先回りを支えるのが「プロアクティブ・リサーチ」です。話しかけていない間も、つながったアプリを読み取り専用の道具で調べます。メッセージの送信やアプリの内容の書き換え、ブラウザーやコンピューターの操作はしません。企業向けには、社内の役割を持たせる Specialist dots のプレビューも始まっており、Microsoft の Agent 365 で管理できるようにする連携も進めています。

料金面では、ChatGPT Pro(月100ドルの Pro 100 から)と Business Premium に最初の1体が追加料金なしで含まれます。dot との会話は ChatGPT の利用上限に数えません。ただし dot から Codex や ChatGPT Work に任せた作業は通常どおり数えられます。個人の Pro は欧州経済領域、スイス、英国では使えません。日本は対象外の地域に入っていません。

7つの観点で比べる

観点 Grok Bot dots
設計思想 役割ごとにボットを並べるチーム型 1体の相棒がまとめる右腕型
実行環境 アカウントごとに1台のクラウド上のコンピューターを全ボットで共有 dot ごとに専用のクラウド上のコンピューター
連携の仕方 API や MCP のないシステムも画面操作で動かせる 4,000以上のアプリと公式のプラグインでつながる
仕事の覚えさせ方 一度やってみせるとルーティンとして保存 一緒に働くなかでのフィードバックで好みを覚える
安全性と権限 送信・公開・購入・削除などは承認の対象にする設定を推奨。独立したAIの審査(Auto Review)も入る 読み取り専用の先回り。アカウントや情報共有に関わる操作は自動審査を通り、パスワード変更などは必ず本人が行う
モデルの評価 Grok 4.7:総合指数46 GPT-6 Astra:総合指数53
料金と始めやすさ Cursor の月20ドルのプランから ChatGPT Pro(月100ドルから)・Business Premium。個人の Pro は地域制限あり

いくつか補足します。

実行環境。 Grok Bot は、同じアカウントのボットがファイル、ブラウザーのセッション、アプリへのログインを共有します。引き継ぎが楽な反面、ボットを分けてもセキュリティ上は分かれていません。SpaceXAI 自身も、そのコンピューターに置いたものはすべてのボットから見えると考えるよう案内しています。

安全性。 Grok Bot では、通信先を制限するネットワーク制御、監査ログ、操作の記録は Enterprise プランだけの機能です。会社で本格的に使うなら、プラン選びが重要になります。dots は、Web サイトやメールに仕込まれた指示(プロンプトインジェクション)を利用者の指示と区別するよう設計されています。

モデルの性能。 第三者評価の Artificial Analysis の比較(Grok 4.7 は xhigh、GPT-6 Astra は max の設定)では、総合指数は Astra が53、Grok 4.7 が46でした。端末操作を測る Terminal-Bench では59%と26%で、倍以上の差があります。一方、オフィス業務の評価である GDPval-AA では Grok 4.7 が上回り、業務の自動化を測る AutomationBench-AA は68%と66%でほぼ互角でした。どちらが上というより得意分野が違う、と運営者は見ています。

どちらを選ぶべきか

運営者の結論は、何を実現したいかで決まるというものです。動画での見立てを条件別に整理すると次のようになります。

こんな人・会社 向いているもの
まず安く試したい Grok Bot
役割ごとにボットを分け、チームとして動かしたい Grok Bot
API のない古いシステムも画面操作で自動化したい Grok Bot
すでに ChatGPT Pro を契約している dots
1体の相棒に仕事をまとめて任せたい dots
Slack や Teams を中心に、権限を管理しながら使いたい dots
連携アプリの中で作業を完結させたい dots

始めやすさでは Grok Bot が上だと運営者は見ています。Grok Bot は月20ドルから使えるのに対し、dots は月100ドルの Pro からで、個人の Pro には地域の制限もあるためです。

経営者は何を考えるべきか

どちらを選んでも、最初は権限を最小限にすることが大事です。外部にデータを出す作業や書き込みの操作は、慣れるまで承認を挟む設定にしておきたいところです。

運営者は IT 企業を経営する立場から、これから問われるのは「AIを使えるか」ではなく「AIをチームの一員としてどこまで任せられるか、どこまで仕組みにできるか」だと述べています。社員に仕事を任せるときと同じで、AIに任せる役割、守らせるルール、確認の仕方を決めて設計できる人が評価される時代に入っていると見ています。

判断の手順としては、次の3つを考えておくとよいでしょう。

  1. 任せ方を決める。 部下を何人も持つ管理職のように使いたいのか、優秀な秘書が1人欲しいのかで、選ぶ製品が変わります。
  2. 自動化したい業務の置き場所を確かめる。 公式の連携があるアプリが中心か、API のない社内システムが中心かで、向き不向きが分かれます。
  3. 管理の機能とプランを合わせて見る。 監査ログや通信先の制限が必要なら、それが含まれるプランかどうかを最初に確かめておきましょう。

関連する用語

出典

  1. 1Introducing Grok BotSpaceXAI・2026-08-11・確認 2026-10-05
  2. 2Grok Bot for EnterpriseSpaceXAI・2026-09-03・確認 2026-10-05
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The Super Intelligence「Grok Bot と OpenAI dots を比較:24時間働くAIエージェント、設計・安全性・料金の違いとどちらを選ぶべきか」(2026-10-01)https://thesuperintelligence.jp/articles/grok-bot-vs-dots

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